水の生き方

最高の生き方は水の生き方である

道(TAO)の哲学のバイブルである「老子道徳経」(老子)では自然のあり方の象徴として水をたびたび取り上げて、その柔らかさに学べと教えています。

八章では「上善水のごとし」と教えています

水はすべての生命を生み育て、生かしていますが、それを主張することもなく、人のいやがる低いほうへ、低いほうへと流れて、静かにたたずんでいます。

そして丸いお椀に入れれば丸くなり、四角い升に入れれば四角くなるように、どんな器にも、抵抗なく調和している水の姿を思い浮かべれば、その柔軟さがよくわかるのではないでしょうか。

つまり、この水のように、偉そうに主張することなく、人を押しのけて上へ上へと上ろうとしなければ、私たち人間も、対立もなく、争いもなく、楽に生きることができるのです。

そしてまた、そんな人は、自然に人に信頼され、その人のまわりには、多くの人が集まり、重要な仕事を任され、いつのまにか、人の上に立つようになるのです。

これこそが、天の道。つまり老子の教える「上善」であり、「最高の生き方は、水の生き方である」の意味なのです。

最も弱いものが、最も強い

老子は七十八章で、この世の中で最も弱いものは水であり、だからこそ、最も剛強なものを攻めるには、これほど強いものはないのだと教えています。たとえば、水は剛強な鉄筋を腐食させてぼろぼろにしてしまいます。

また、どんなに頑強な堤防も、針の穴ほどの水の通り道から崩れてしまいますし、このところの豪雨によって、道路や橋、家などが被害を受ける様子を見ると、本当に、最も弱くて自由自在に形を変える水こそが、最も強いということが、よくわかります。

私たち人間も、この水の柔らかさ、自由自在に変化できる無為自然なあり方に学び、コロナ禍で大きく変化している社会の流れに乗っていける、柔軟な強さを身につけたいですね。